虎乱刀 2
今回は虎乱刀での防刀について細かい解説を行います。
天心流における全ての技法は、本来受けて止めるということは行いません。
しかし楷書のように、稽古として区切って行う場合は、便宜上、受けて止まるために、受けて止めているかのように見えます。
実際に攻撃を刀で止めようとすると、刀は折れるか曲がってしまいます。
そして受けと同時に反撃を行わなければ、敵は変化し、防御や追撃を行うことが出来てしまいます。
ですが最初から区切ることのない動きを学ぼうとすると、敵の攻撃から身を正しく守れなかったり、敵の体勢を崩すことが出来ません。
そのため、稽古としては動きを区切った楷書から、段階的に行う必要があります。
楷書の動きはとても大切ですが、それはそのまま実戦として用いられるものではないことを理解して稽古して下さい。
草書(離)での抜刀
稽古法 壱
先の動画で説明した「右手をあまり右にもっていかないように抜刀する」ための稽古法をお見せ致します。
これは右側に壁などを置いてもできますが、人がいる場合はその方にお願いして稽古して頂くと良いでしょう。
相手に柄頭を持ってもらいます。この時の「持つ」というのは握って止めたりするということではなく、あくまでも確認のためのものなので、柔らかく持ち、相手の抜刀を邪魔しないようにしてください。
そして抜刀をするために手を掛けますが、このままの角度で抜刀していくのではなく、柄頭がやや右に回りながら刀を抜いていきます。
先の動画で述べた肩甲骨の働き、腰の働きなどを用いて、出来るだけ柄頭が右に移動しないようにします。どのくらい移動したかを相手に見てもらいます。5cm程度であれば良いですが、今の動きではもっと鞘引きで刀を抜くことが出来れば理想的です。
そのあと受けまで行い、良い位置に刀が来ることを確認する稽古法になります。
もう一度行います。
もう一度。
今はそこまで右に行っていませんでしたが、支援のために押してみました。
刀があまり右に行ってしまっているようであれば、少しだけ押してあげて「そこまで行ってはダメだよ」と教えてあげて下さい。
今の場合は正直な話、そこまで右に行っていませんでしたが、実演のためにちょっと強く押してみました。
そうでない場合では特に邪魔することなく、「これぐらいなら許容範囲だな」というところを超えたら刀を止めてあげるようにしてください。
今の場合はもうすこし左側で刀を抜くことが出来れは理想、という感じです。
このような稽古法ですので、実際に試して下さい。
稽古法 弐
壁を使う場合の稽古法です。
最初からこのように壁にくっついてしまうとそもそも抜刀の形が変わってしまうので、右肩が5cmほど壁から離れた状態から刀を抜いていきます。
この状態から刀を静かに抜き出していき、刀の角度が変わることによっておおよそ柄頭が壁に当たるほどになります。
そこから先ほど言ったように、右の肩甲骨を引き、左の鎖骨を出すようにしながら、左に腰を移しつつ刀を抜いていきます。
あまり速く刀を抜くと、この辺りで刀が曲がってしまったり、鞘を割ってしまう危険性があるので、身体を出来るだけ使い、柄頭で壁を叩いてしまわないように、ゆっくり刀を抜いていきます。
また、出来るだけ拳が上がらないように刀を抜いて下さい。
床と平行になるようなつもりで刀を抜いていきます。
目一杯身体を開き、伸ばして、ゆっくりと刀を抜いていきます。
これが、壁を使った確認方法になります。
注意点
次の注意点を相手をつけて解説していきます。
この時、刀の切っ先を下げ過ぎないように気を付けてください。
相手の攻撃を刀で受けるとき、自分がどのように受けているかを説明します。
このような動きをしています。
相手の攻撃を刀で受けた瞬間は、自分の刀の鎬が相手の刀に当たっていますが、そこから峰にかけて刀が動いてくようにしながら相手の攻撃を受けていきます。
手首を外にひねるようにしながら、刀の鎬から峰に掛けて相手の攻撃を受けていきます。
このように相手の攻撃を刃で受けてはいけません。刃で受けてしまうと、刀身の刃にダメージが入り、そこから刀が折れてしまう危険性があります。そのため、刃で受けるのではなく、鎬から峰に掛けて刀が動くようにしながら、相手の攻撃を受けるようにして下さい。
また、相手の攻撃を受け止めるようにしてはいけません。相手の攻撃を受けた、その反動を使って相手の小手を切るという一連の動作を行うようにしてください。
相手の攻撃を刀をこのように受け止めないようにして下さい。相手の刀が自分の刀に当たるや否や、自分の刀が返り、相手の小手を切るようにします。
次の注意点です。
相手の攻撃を受けた後、相手の小手を切ろうとするがあまり、腕をこのように振り上げて切ってしまいがちです。
特に初学者がしてしまいがちなので、大きく腕を振り上げるのではなく、最初はゆっくり、小さく動いて相手の小手を切るようにしてください。
実際の動きでは、このような小さな動きでは相手の小手を切ることはできません。もう少し大きな動きになります。
ご覧いただいたように、実際は刀を自分の顔面程度の高さまで振り上げます。しかしそれだけでは斬撃力が足りないので、足を飛び違えて切ることで、十分な斬撃力を出すことができます。

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