閂抜
これは初学の抜刀技法です。
暗殺技法であり、また帯刀していない時の抜刀技法であり、さらに左手での初学の抜刀技法であり、そして妙手を用いた抜刀技法でもあり、多くを学ぶ技法となります。
楷書(守)での抜刀
それでは、閂抜(かんぬきぬき)、またの名を閂抜(かんぬきばらい)のシチュエーションを簡単に説明します。
ある武家屋敷を訪ねた侍が玄関に入ります。この時、既に侍は脱刀(だっとう)しています。
そしてこの腰の物(こしのもの、つまり刀の事)をどうするか、と応対に出てきた小姓(こしょう)に尋ねます。
こちらが「腰の物!」と言った際に、小姓が「腰の物はそのままで」と言った際は、刀をそのまま持ったまま、履物を脱ぎ、家に上がっていきます。
今回はそうではなく、腰の物を小姓が預かるというシチュエーションになります。
今回は左手で刀を持って行います。こちらが「腰の物!」と言った際に、小姓が「お預かりします」と言って手を差し出してきます。こちらは刀を差し出します。そして小姓は刀を受け取り、一緒に家に上がっていく、というシチュエーションになります。
そのような場合、小姓が刀を受け取ろうと手を差し出した刹那に、首を切ります。そして動きを封じるなどし、相手は声を出せないので家の主を殺しに行きます。
そのような際に用いるのが閂抜の基本的な使い方になります。
皆様には閂抜が用いられる状況をご覧頂きました。
閂抜はこのように左手で刀を持っている状態から行うだけでなく、右手で刀を持っている状態からも行いますし、このように前に刀を差し出したのち、刀を回転させて行うなど、色々なバリエーションがあります。
皆様には初学として、左手で刀を持っている状態から閂抜の稽古を始めて頂ければと思います。
刀を持つ際は、栗形から十分に間隔を空けて、この辺りを持つようにして下さい。
そして刀を相手に差し出すように前に持っていきます。
次に、右手を柄までもっていきます。右手で刀を180度回転させ刃を向けるようにしながら、刀の鍔が自分の中墨(なかずみ)に来るまで右手で刀を動かします。同じタイミングで、左手も鍔の方までもっていきます。
隠し切り(かくしぎり)にて鯉口を切り、右手と左手を同じ速度で動かしながら刀を抜いていきます。そして右足一歩前に出ながら、相手の喉元を切ります。
左手を左腰につけ、ここで鞘を返します。
そして相手を詰めます。鞘を前に持っていき、刀の峰を鯉口に付け、納刀します。左足を前にもっていき、後は通常の流れになります。
拳の位置、刀の角度などを詳しく説明します。
相手に刀を差し出します。相手が受け取ろうとしたとき、刀を取り、刃を返し、刀を抜き払います。
この時、両方の拳が前後しない、上下しないように、同じ位置にあるように注意してください。横から見るとほぼ一直線上にあるようにします。
※ここでは動画にパースがついてしまっていて、両拳が前後して見えています
右拳を引いたり、左拳を引いたりしないようにして下さい。
そして刀と鞘の角度が同じになるようにして下さい。
特に切るという動作のため切っ先が開きがちになりますが、そうならないようにして下さい。漢字の「八」の字になるように注意して頂ければと思います。
草書(離)での抜刀

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