点抜・動抜・動乱抜と兄弟勢法

点抜・動抜・動乱抜と兄弟勢法

天心流の立合技法に関する原理原則的な概念を説明いたします。
天心流では、最初に「点抜(てんぬき)」を基礎として学びます。
点抜は足捌きなどを特に用いず、使ったとしても足を開く程度になります。
次の段階として「動抜(どうぬき)」を学びます。
動抜は点抜で学んだ抜刀術の技法を基にして、体捌き、足運びを用いて技を行います。動抜の「動」の意味は動くということです。
さらにその次の段階として、動抜を基にして激しく動く、あるいは応用的に動いたりするものを「動乱抜(どうらんぬき)」と呼びます。
このように、立合技法は大きく分けて三段階あります。
もう一つの概念として、異なる足運びを使ったり応用を使ったりしていますが、基本としての動き方や考え方が同じ、あるいは刀の抜き方が同じである技を「兄弟勢法(きょうだいがた)」と呼びます。
これから井手先生にその兄弟勢法となるものを点抜、動抜、動乱抜の3段階に分けて実際に行っていただきます。
まずは点抜・風神貫(ふうじんぬき)という技法です。
これは前に拳を出さない、出せないなどの理由により、首の後ろ側から刀を回して切っていく非常に変わった形の技法になります。
今ご覧いただいた通り、足運びを用いずに技を行いました。これが風神貫です。
この風神貫を右足が出ながら行うと風神返という技になります。
抜刀は風神貫と同じように首の後ろ側から刀を回して行っていますが、それに足運びを用いて行いました。そのため、これは風神貫ではなく、風神返となり、その二つの技は兄弟勢法になるわけです。
風神返は動抜です。
続いて、動乱抜に該当する、風神貫の抜刀のシステムを使ったままで行う技法、一文字返(いちもんじがえし)、あるいは一文字霞払(いちもんじかすみばらい)と呼ばれる技法を行います。
これは暗殺で用いる技法になります。一文字返は動乱抜です。今まで使ったものを応用して
実際に用いていくというものになります。いずれの技法も兄弟勢法であり、基礎となる刀の抜き方は同じで、そこから変化していくということです。
点抜・動抜・動乱抜、ならびに兄弟勢法について説明いたしました。TENSHINRYU ONLINEではまず皆さんに学んでいただくのはこの基礎となる点抜を中心としてやっていきます。
しかしやはり同じような足運びを使わない技ばかりを稽古するのも面白くないかもしれないので、順次状況を見ながら上級の技を取り入れて稽古していきますのでどうぞよろしくお願いいたします。

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