柄落胸刀の位・水月の位

真の位 参・地の位

天心流の技法で頻用される位を解説します。
今回は真の位の「柄落胸刀の位(つかおとしむねのとうのくらい)」と地の位の「水月の位(すいげつのくらい)」です。

柄落胸刀の位

続いては真の位、柄落胸刀の位です。
これは守りの位です。
刃を上として、切っ先を正面に向け、そして刀を胸に抱くようにし、肩ごしより相手をにらみつけるようにして位を取ります。
腰を非常に落とし、穴熊囲い、背を木や壁などにして、身を守る位です。

※穴熊囲いとは、将棋に用いられる鉄壁の首尾陣形です。
熊が穴蔵に入り待ち伏せる如くという程の意味です。

水月の位

地の位より、水月の位の解説をいたします。
青眼の位より切っ先を後ろに、下に垂らすようにして位を取ります。
水月とは「水の月」と書き、自分が立っている位置から水面を作るようにして、その水面に月が写っているというほどの表現です。
水月というのは、間合い、そして切り合いの中で用いる心法、タイミング、そのようなものを表現する名前となります。
注意点としては、つい柄を強く握ってしまって、切っ先がこのように上に立ってきてしまいがちです。
右手の力を抜いて、手の内はきちんと取りますが、力は入れずに切っ先を柔らかく落とすようにしてください。

また、刀の位置が身に近すぎたり、身から遠すぎたりしないようにします。
青眼の位の左肘の曲がり具合をそのままキープするようにして、切っ先を返して位を取ると正しい位置に刀が来ます。

この時、柄頭のみが相手に向き、切っ先は相手から見えないというのを基準とします。しかし実際のところは身長差やその他様々な条件によって若干異なるので、目安として捉えていただければと思います。
通常の位と異なり、やや右足は横に開くようにして位を取ります。そして、両膝を結んだ線に対して刀が平行となるような意識で位を取ると良いでしょう。

水月の位の時の特徴としては、足が根の足と呼ばれる、両つま先を開いた形で位を取るのが特徴の一つです。この位も左右、陰陽ともに位があります。

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