天の位
天心流の技法で頻用される位を解説します。
今回は天の位の「八草の位(はっそうのくらい)」と「大袈裟の位(おおげさのくらい)」です。
「雲居の位」と「切雲の位」は以前に動画で解説していますので、そちらをご覧ください。
解説
今回は天心流の技法で頻用する位の解説を行います。
天心流で用いる構えのことを位(くらい)と呼びますが、これは大別して三種類に分けられます。
天、真、地、つまり、胸部、胸よりも高い位置に構える位を天、
中間、胴部あたりで構える位を真、
腰より下に構える位を地、と上中下の高さで分類されます。
今回は詳しい解説ではなく、位の名前、そして簡単な形についての解説のみ行います。
八草の位
まず天の位で最も用いられるのが雲居の位、ならびに切雲の位です。
これらについては、以前に動画で解説していますので、そちらをご覧ください。
続いて頻用する天の位としては、八草の位、あるいは袈裟の位と呼ばれるものがあります。
青眼などより、陰陽どちらかに、顔の横に柄が来るようにし、切っ先を立てて位を取ります。
八の草とは非常に丈の高い草の名称ですが、実際にどの草のことかはわかっていません。非常に高く茂る草のように切っ先が立つことから、天心流では八の草と書いて八草の位と呼びます。また別の名称として、袈裟に切りかかることから、袈裟の位とも呼びます。
形は陰陽、右左どちらもあります。
特徴としては、非常に顔の近くで位を取るということです。
陰、右側に位を取る場合は、左手の甲が右の頬に付くほどに顔に近づけます。
そして右肘はあまり張らず、かといって身体に付けるわでもなく、自然とした、脱力した状態にします。
切っ先は垂直ではなく、やや後ろに倒します。
そして、両手に力を入れ過ぎてしますと、このように切っ先がどうしても左に倒れます。切っ先は左右に倒れることなく、出来るだけ垂直に近く、もちろんやや後ろに倒すようにしてください。
また陰陽で若干形が異なります。
陽の場合、右手の甲は左の頬よりもやや高い位置に来ます。左右で手の位置が違います。右手の甲を左の頬に付けてしまうと、切っ先がとても下がってしまいます。右手の甲が左のこめかみに来るのを基準としてください。
切っ先をやや後ろに倒すなどの注意点は陰と同じです。
大袈裟の位
天の位の大袈裟の位の解説をします。
大袈裟の位は八草の位、袈裟の位をさらに大きくしたものになります。
袈裟に切り終えた後、大きく後ろに下がるときや、甲冑刀法などでも用いられます。
大袈裟という名前の通り、右肱をピンと伸ばすほどに、右斜め上に位を取ります。
この大きな斜めの形をとることから、斜(しゃ)の位とも呼びます。
こちらも、八草の位と同様に、陰陽どちらもあります。
位の取り方としては、八草の位から、肘を伸ばして高く取る、という形になります。

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