虎乱刀 1

虎乱刀 1

これは低い切り上げに応じる技法です。
瞬抜(またたぬき)にて防刀、刹那に返刃を行う、難易度の非常に高い技法です。
楷書(守)での抜刀
今回は、立合抜刀術の一つである虎乱刀(こらんとう)を解説していきます。
虎乱刀は、「虎」の「乱」れる「刀」と書きます。
天心流では、虎乱という名称は飛ぶ動作を表しています。
虎乱刀は、足を飛び違えつつ、相手の小手を切る技なので、その技の名称を虎乱刀と呼びます。
実演解説
虎乱刀の実際の解説に移ります。
対者は、正面から我の左の腿辺りを袈裟外に切ってきます。
それに対して、我は刀の柄に手を掛けつつ、刀を抜き、右足を引きながら対者の攻撃を刀で受けます。
その後、刀を顔の辺りまで持ち上げ、足を飛び違えつつ、対者の小手を切ります。
切った後、肩掛の位になりながら、その場から下がります。
そして青眼の位になります。
残心を取り、血振るい、納刀を行います。
横からご覧ください。
対者が袈裟外しにて我の左の腿辺りを切ってきますので、刀を抜き、右足を下げながら、対者の攻撃を受けます。
この時、対者の攻撃を受けようとするがあまり、前で受けてしまいがちなので、そのようにしないよう、注意して下さい。
適切な位置で対者の攻撃を受けた後に、飛び違えながら、対者の小手を切ります。
この時、足の幅が拳一個分になっているかどうかを確認して下さい。
対者の小手を切った後、肩掛の位になりながら六尺、その場から離れます。
先ほどは後ろに壁があったので六尺下がれませんでしたが、実際は六尺下がるように心がけて下さい。
肩掛の位から青眼の位になり、そして残心を取ります。
殺守剣(さっしゅけん)
受け方の注意点について解説します。
相手をつけて行いますのでご覧ください。
この時、相手の刀を鍔元近くで受けるようにして下さい。
鍔元近くで相手の刀を受けるためには、刀を抜く際に、右手が右側に行くのではなく、自分の中墨側で出来る限り刀を抜くようにして下さい。
右手が右側に大きく移動しながら刀を抜き、相手の攻撃を受けようとすると、刀の切っ先側で相手の攻撃を受けることになります。
そうしますと、相手の攻撃を受け損なったり、刀を曲げてしまう可能性があります。そのため、出来る限り自分の中墨側で刀を抜き、鍔元側で相手の攻撃を受けるようにして下さい。
抜刀時の肩甲骨の働きについて
では、具体的な抜刀方法について解説致します。
柄に手を掛けて、鞘引きだけで刀を抜こうとすると、結局この距離しか刀を抜くことが出来ません。そのため、右手を大きく使ってしまい、その結果、正しい位置で相手の攻撃を受けることができません。
では、どうしたらよいのか?いくつかの方法を使って私たちは刀を抜いています。
刀の柄に手を掛けたとき、まず、右の肩甲骨を後ろに引いていきます。
右の肩甲骨を後ろに引いていくとともに、腰を左側にずらしていきます。
この二つの動作を一緒に行うことによって、刀の鍔元側で相手の攻撃を受けることができます。
横からご覧ください。
このように右の肩甲骨を後ろに引きながら、相手の攻撃を受けます。
虎乱刀だけでなく、多くの防刀の技で、この肩甲骨を後ろに引くという動きが出てきます。
他の技でも肩甲骨を引くという動作が出てきますので、私たちの解説ビデオで「肩甲骨を引く」というキーワードが出てきたら、あ、このことを言っているんだな、と思って頂ければと思います。

 

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