相対性理論と武術

相対性理論と武術

相対性理論と武術には密接な繋がりがある。
わけではないけど、相対性理論のよく使われる喩えは大切です。相対性理論の詳しい説明はここでは省きます。(私もよくわかってないので)
で、ようするに時間は相対的。
時間は不変ではなく、不変なのは光の速度であるということ。
光の速度が不変であり、時間が変化するものならば、高速で移動する物体の時間は他より遅くなる。こんな説明は聞いたことがあると思います。そして同じように相対性理論の説明でよく用いられるのが、「楽しい時の時間は短く感じられ、つまらない時はとても時間が長く感じられる」という喩え話です。

「熱いストーブの上に手を置くと、1分が1時間に感じられる。でも、きれいな女の子と座っていると、1時間が1分に感じられる。それが、相対性です」

とアインシュタインは話したそうです。
これは相対性理論の説明ではなく、相対性という言葉の話しなのですが、どういうわけか相対性理論の解説に時々誤って用いられてより混乱を生んでいるようです。

で、時間感覚の相対性はあくまでも脳科学の分野であって、相対性理論とは関係ありません。

というわけで今回は相対性理論でよく用いられる喩え話と武術の相関関係についてです。

さらにいえば、あらゆるジャンルにおける熟達者と未熟者の違いの一つについてです。

「熱いストーブの上に手を置くと、1分が1時間に感じられる。でも、きれいな女の子と座っていると、1時間が1分に感じられる。それが、相対性です」

この時間は自分の感覚では相対的と言えるという話しです。

基本的に集中してなにかに取り組んでいる時は時間があっという間です。
私も子供時代、道場でつまらない時は、とても時間がゆっくり感じられて、よく時計を見ていました。
しかし、天心流での稽古は、常に、誰かが時計の針を進めているのではないかというくらい時間が短く感じられます。

これはマクロ的な視点での相対性です。

それに対して、今回話したいのはミクロ視点での相対性です。

■ 研ぎ澄まされた高度な身体機能にとっては、時間はスローモーションのように感じられる

熟達者ほど、一回の動きがスローモーションのように長く感じられます。
例えば抜刀時、瞬間的に行っていますが、意識を向けた場所が限定的であるほど、その部位の動きなどがコマ送りのように感じられます。

研ぎ澄まされた高度な身体機能にとっては、時間はスローモーションのように感じられるのです。

当然ながらそこで起きている事象の理解も高くなるため、修正も速くなります。

これは感覚的な話しですが、そのように意識している時、脳が開いているというか、集中力が極度に高まっている状態です。

マリオカートとかでも慣れたプレイヤーは瞬間瞬間で物凄い情報量を瞬時に読み取り判断し操作していますが、それと同様の脳の処理になると思います。

この極度の緊張と集中が稽古では極めて重要です。

そしてそれを外部と内部両方に随意に用いることが出来るように、意識的に脳を使うことが肝要です。

もちろん、技法の手順が危ういレベルでは話にならないので、繰り返し稽古を行って、手順を考えなとも技法を行える段階からの話しですが。

これが行えると、稽古の質が一気に高まります。

■ 動画編集アプリ使え!

ここまででも十分すぎるくらいに、文字通り質の高いお話です。
この感覚をきちんと教えてくれた人を私は知りません。
雑に集中が大事程度のものです。

しかしここからはさらにその効果を容易に引き出して効果的に上達する具体的方法を明示します。
これを読んでいる人はラッキーです。

それは動画を撮って見ることです。

「当たり前じゃん」

と思うかもしれませんが、そうではありません。

これは私が広報活動、指導の中で、必要に迫られながら行った結果、むしろ自分自身の上達に大きな成果を上げた方法です。

ただ撮影するだけでも良いのですが、今どき動画編集アプリの大半についているし、また撮影機能にそもそも常備されているものもある、スローモーション機能を用いるというものです。

先程、「研ぎ澄まされた高度な身体機能にとっては、時間はスローモーションのように感じられる」と書きました。

しかしそこまで高度な身体を持たなくても、誰でも簡単にスローモーションで動く自分を簡単に確認できるのがスローモーション機能です。

その精度は、自分の身体感覚より高度な場合が多いのです。

滝沢先生などは、よく天心流広報の動画にも載りますし、そこではスローモーション機能をたくさん使います。
そして滝沢先生は自分が大好きなので、繰り返し自分の動画を見ます。
そこにはスローモーションで動く自分が否応なく映っています。

何度か滝沢先生から「スローモーションが多くてくどい」と言われました。

つまりそういうことです。
それだけ自分の中に、スローモーションで見る感覚が培われていて、意識的、無意識的に物凄い量の学習がそこで起きています。
つまりそれはそのまま経験値となり、上達となるのです。

私達の中には、少なくとも私が認めるような才人は居ません。
無論私を含めて全員ボンクラです。
おそらく世界中探しても、私が認める天才は存在しないでしょう。

そして世界的に天才と呼ばれるごく一部の人々がおそらく持っているような超感覚、それを簡単なボタン操作で体感出来るのがこのスローモーション機能です。

繰り返し言っていますが、まず自分の動画を撮ること。
そして次は、それを動画編集でスローモーションにする。

往時の武士には絶対に出来ない、これぞ神業です。
神業を通して我々現代人にしか出来ない上達のメソッドを大いに活用して欲しいと思います。

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