抜刀ノ事 – 其の弐 –

抜刀の事 -其の壱-
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●稽古法
跪坐
膝の開閉


抜刀ノ事 – 其の二 –

小太刀抜刀術の基本の技法である。
楷書(守)での抜刀
 
それでは、小刀の抜刀術(ばっとうじゅつ)である「抜刀(ぬきうち)」を解説していきます。
まず、下から刀の柄に手を掛け、つま先立ちになりつつ、両膝を閉じながら、さらに鯉口を切って刀を上に抜いていきます。
右手を上まで十分に伸ばした後、右手の薬指から順番に柄を握っていきます。すると刀の柄頭が前に出てきますので、左手を柄頭の方へもっていきます。
そして、刀を切り下ろしつつ、両膝を開きながら、さらに身体を後方に反ります。
しっかりと下まで切り終えた後、両膝を閉じながら青眼に戻ります。
頭の中で臨(りん)・兵(ぴょう)・闘(とう)・者(しゃ)・皆(かい)・陣(じん)・烈(れつ)・在(ざい)・前(ぜん)と唱えます。
続いて、肘を伸ばしながら前に切っ先を出しつつ、刀を下ろしていきます。
切っ先が床に付くか付かないかまで来ましたら、右膝を右に開きながら、右手を右膝頭まで持っていきます。左手は左膝頭付近に持っていきます。
ここでさらに頭の中で臨(りん)・兵(ぴょう)・闘(とう)・者(しゃ)・皆(かい)・陣(じん)・烈(れつ)・在(ざい)・前(ぜん)と唱えた後、刀で切っ先の方向を突くようにしながら左手で右手首を打つことで、血振るいを行います。
次に初学の皆さんは刀の峰を自分のあばらの辺りに付け、そして刀の切っ先をやや上に向けるようにします。
そして、鞘を返しながら鞘の鯉口を刀の峰につけます。次に、刀を後ろに引いていき、刀の切っ先が鯉口に入った瞬間に鞘を刀に被せつつ、右肘を落とします。次に右膝を地面に付け、そして左膝を左に上げます。
そして両方の手をゆっくりと動かし、刀を鞘に納めていきます。
刀の鍔を左手で控えながら、まず左膝を地面に付けます。そして右足を半歩前に出し、立ち上がり、右足を後ろに引きます。
次に右手を柄頭にもっていき、刀を鞘にしっかりと納めます。
続いて右手を右腰につけ、左手を左腰につけ、最後に両方の手をゆっくりと下ろします。
横からご覧下さい。
刀に手を掛け、鯉口を切り、両膝を閉じながら、つま先立ちになりつつ、刀を上に抜き、真向に切り下ろします。そして青眼に戻ります。
切ったときの姿勢に注意してください。
十分に身を反ることが大事です。そして腕と刀の切っ先を結んだ線が直線になるようにして下さい。この二点に注意して動作を行うことで、しっかりと真向に刀を切り下ろすことができます。
そして青眼に戻ります。
残心の後、肘を伸ばすようにしながら切っ先を前に出しつつ、刀を下ろしていきます。
腕と刀が一直線になる程度から、刀を自分の身体に寄せていきます。柄頭が自分の身体に付くか付かないか、そのあたりから右膝を開き、「折敷(おりしき)」の姿勢をとります。
左手は左膝に、右手は右膝頭に位置しています。この時、右手を膝頭に置くのではなく、紙一枚分程度、膝頭から浮かしています。
刀の切っ先はやや下がり気味にします。肘はこのように上げるのではなく、下げる、垂らすような形を取るように気を付けてください。
また一つ注意することとして、どうしても前傾になりがちになりますので、このように身体を真っすぐ立てるようにして下さい。
残心を取り、左手で右手の手首を叩くことによって血振るいを行います。
次に、刀の峰をあばらに付け、刀の切っ先はやや上がり気味にします。これは、突然敵がつかみかかってきた場合でも、刀の切っ先が上がっているので、そのまま相手を突けるような態勢にしておくためです。
刀の峰をあばらに付けた後、鯉口を刀の峰に当てます。
そして右手をまっすぐ後ろに引いていきます。この時、右手の手の内は緩めて構いません。このように横、下、上に右手が行くことなく、まっすぐ後ろに引いていき、切っ先が鞘に入った瞬間に右膝を落とし、左膝を上げます。
半身を維持しながら、両手を動かしていき、刀を鞘に納めます。そして左膝を地面に付けます。
次に、右足を半歩前に出します。右足を前に出す目安として、右足のつま先が左膝頭を少し超える程度になります。
そして立ち上がり、前に出した右足を後ろに引きます。
後は通常の流れの通りです。
右手を柄頭にもっていき、刀を鞘にしっかりと納めます。
続いて右手を右腰につけ、左手を左腰につけ、最後に両方の手をゆっくりと下ろします。
納刀後、立たずに座る方法
立たずに、そのまま座る方法をお見せ致します。
まず左膝を地面に付け、そのあと右足を出さずに、両方の足の甲を床に付け、そして腰を下ろします。
後は通常の流れの通りです。
右手を柄頭にもっていき、刀を鞘にしっかりと納めます。
続いて右手を右腰につけ、左手を左腰につけ、最後に両方の手を鼠径部に垂らします。
後方から
刀を切り下ろすときの足に注意してください。
両膝を閉じながら、つま先立ちになりつつ、ここから真向に切り下ろしますが、両膝を開くと同時に両方の踵を出来るだけ付けるようにして下さい。このように足を開いてはいけません。
両膝を開く、そして両方の踵を付けるようにすることで、きれいな姿勢を作ることができます。
そして青眼に戻り、通常の流れの通り行っていきます。
草書(離)での抜刀

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