技法 41 虎乱刀 3

今回は虎乱刀の殺守剣、そして攻刀者の動きについての解説です。
天心流では、主に刃引きの刀、現代では模造刀を使って打ち合って稽古を行うことを殺守剣(さっしゅけん)と呼びます。
そうではなく、木太刀、木剣を使って打ち合って稽古を行うことを攻防剣(こうぼうけん)と呼びます。
今回、虎乱刀の殺守剣をお見せします。その前に正しい攻撃方法を詳しく解説したいと思います。

攻刀者の攻撃について

虎乱刀における攻撃は、袈裟外しにて、相手の腿を下から切り上げるが如く、非常に深く切っていきます。
その際、左手で刀を鞘ぐるみで返し、抜刀していきます。
遠い間合いから相手に駆け寄る、あるいは若干近い間合いから数歩出て行います。
柳生腰という姿勢になり、柄頭を相手に向けるような心持で、一直線上で足を動かす「虎走(とらばしり)」にて相手に駆け寄ります。それを行いながら良い間合いまで来ましたら、左足が前の時に右手を柄に掛けるとともに、左手でこのように刀を返しながら、刀を抜いて切り上げていきます。
ゆっくりと行います。
駆け寄り、左足が前の時に右手を柄に掛け、刀を返し、大きく前傾になりながら切り上げていきます。
重要な点は前のめりになるように、出来るだけ遠くを切るということです。相手に自分が近寄れば近寄るほど自分のリスクも高くなっていくので、出来るだけ前傾になり、遠くへ切っ先を届かせるようにします。
もう一つの注意点をお伝えします。
強く切ろうとしますと、どうしても自分の右拳を自分の正中心、中墨よりも左側に持ってきてから刀を振ろうとします。
非常に斬撃力は強いのですが、その動作を読まれてしまうと相手に先んじて相手に刀を抜かれ、自分の右小手を切られることになりかねませんし、相手はその動作を予見して避けやすくなってしまいます。
ですから、強く切ろうという意識は捨て、「刀は切れるものだ」と信じて、右拳をただ右斜め前方向に上がっていくようにしながら突く如く切ります。
以上の点を注意しながら、攻撃の練習をしていただければと思います。
殺守剣 -序-
殺守剣 -急-

攻刀者の注意点

攻撃側のことを攻刀者と呼びますが、攻刀者の動きの説明をします。
相手に対して攻撃を加える際、相手は自分の小手を切るわけですが、もし相手が切る部位を確認したい場合はゆっくりと行い、ここで右手を動かさないようにして下さい。そして切られる位置はここに来ます。
しかし実際に相手に小手を十分に切らせてあげることを稽古の主眼とする場合は、右手をこのまま置いていたのでは相手は切り下ろすことが出来ませんので、受けられるや否や力を抜いて、右手をここまで落とし、相手に切らせてあげるようにします。
切り上げ、そして落とす。このように行います。
他の技法でも同じようなことが言えますが、基本的に力を相手に伝えるためには攻刀者は前足のつま先を相手に向けます。左足が前の場合は左足のつま先を前に向けます。これが原理原則となります。
しかし、実際の速度では非常に速い身体運動を行うために、若干つま先が内側を向くのは構いません。
ですから、守ではなく離を急で行うのであればこのように若干前足のつま先が内側を向くようになります。
しかしゆっくりの場合は、身体運動を最大限発揮するための正しい形を学ぶために、必ずつま先が完全に相手を向くように意識して稽古して頂ければと思います。

 

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