柄打、鍔転返、鐺返など、居相腰から六尺(180cm)以上大きく退がって橦木足となり残心を行います。
しかしこれは至難の業です。
畳やニスが塗っていない昔ながらの板の間は滑りやすいですが、それでも普通は無理です。
これはあくまでも努力目標のようなもので、実際は身長程度下がれれば十分と言えます。
ですが実際に稽古している人の殆どが、120cm程度しか退がることが出来ません。
少なくとも身長程度は退ることが出来なければ、合格とは言えません。
ではどうすれば大きく退がれるのかについて解説します。
まず大きく後退するという指示をそのまま受け止めると、普通は後ろ足をダイレクトに後ろに移します。
しかしこれではすぐに移動エネルギーが失われます。
実際には、腰を浮かせる瞬間に僅かに後ろ足、後ろ膝を前に進めるようにして重心を前に集約します。
これで大きく素早く後ろ足を後退させることが出来るようになります。
最初は、極限まで後ろ足を前に移動させて、完全に前足一本足となる程度にして退がってみると良いでしょう。
予備動作があると後退が遅れますが、実際にはこれは僅かな働きです。
メインになるのは、後ろの骨盤を閉じるように前に移すということです。
これは腰を浮かす動作と同時に行われるため、予備動作として後退を遅らせることにはなりません。

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