天心流で用いる代表的な手の形について

天心流で用いる代表的な手の形について

天心流で用いる手の形について説明していきます。

平手(ひらで)

まず平手(ひらで)の解説をいたします。このような手の形を平手と呼びます。
室内でかしこまって、姿勢を正して立っている時にこのように用います。
またこのように座っている時にも、先ほどの平手を用います。手は鼠径部(そけいぶ)に垂らして置いておきます。
「平手」の手の形について、具体的に解説していきます。
まず手を開きます。
手を開いて四本の指をしっかりと揃えます。
次に正面から見たとき親指の爪が見えないように、親指を少し内に入れます。
このような形をとります。
手を開いたときにどうしても指が反ってしまいがちなので、反らないように気を付けて下さい。
また親指を手の内側に入れるとき、親指の第一関節と第二関節を両方とも少しずつ動かすことによって手の内側に納めていきます。
このように親指を手の内側に入れてはいけません。
あくまでも親指の爪の部分が正面から見えないように、親指の第一関節と第二関節の両方を少しだけ動かして内に入れていきます。
平手の形に対して、日本には「水を手で受けるような」、という表現があります。
また親指の爪を隠すということについて、日本には古来より親指の爪を隠すというような風習があります。私が子供の時、親から「霊柩車が来たときは親指を隠せ」と言われたこともあります。
親指の爪を隠す理由については様々ありますが、日本の古来から伝わる風習の一つになります。
平手の形を作った後に、このように腰に付けます。この時、やや指を開きがちになりやすいので、しっかりと四指を揃えるようにして下さい。
この平手は天心流の中でよく出てきますのでしっかりと覚えておいてください。

烏賊の口(いかのくち)

「烏賊の口(いかのくち)」と呼ばれる手の形について説明していきます。この烏賊の口は特に屋外で立っているときに用いられる手の形です。
何故この手の形を「烏賊の口」と呼ぶかといいますと、この手の穴の部分が烏賊の口に似ているため、と言われています。実際にこの手の穴の部分が本当に烏賊の口に似ているかを皆さんで確認して頂ければと思います。
では、「烏賊の口」の手の形の作り方について説明していきます。
まず、拳を握ります。
そして親指の爪を「平手」と同じように隠します。
拳を握るとき、四本の指を平行にするのではなく、小指の方から階段状にずらしていくようにします。そして親指をこのように納め、人差し指を鉤状の形にします。そしてこのように立ちます。
烏賊の口という手の形は納刀する際にも用いられます。左手で鯉口を握るときの手の形は烏賊の口になっています。屋外で立っているときに用いられる烏賊の口とは異なり、親指の爪はこのように隠しません。左手でしっかり鯉口を被せるようにし、納刀していきます。
また烏賊の口は当身技(あてみわざ)でも用いられます。
鳩尾を下から打ち上げるように打つとき等に用いられます。
このように拳を握るのではなく、烏賊の口にて打ち込みます。
以上が烏賊の口の解説となります。

竜の口(たつのくち)

竜の口(たつのくち)という手の形について説明していきます。
このような手の形のことを竜の口と呼びます。
なぜ竜の口かと言いますと、漢字で竜の口は「竜(りゅう)」の「口(くち)」と書きます。手の形が竜が口を開けているような形に似ているというところから竜の口と呼びます。
手の形は烏賊の口と非常に似ています。違う点は、小指、薬指、中指の三指と親指、人差し指の二指の間が離れている点です。この竜の口は刀を持つときに用いられます。
実際に刀を持った時の竜の口の形です。
刀を持ったときにこのように柄を強く握ってしまうと親指や人差し指が伸びてしまいます。また、「力を抜くように」と指導された際も親指や人差し指が伸びてしまいがちです。親指と人差し指の二指は曲げるように気を付けてください。
実際に刀を振った際に親指や人差し指が伸びる事は構いませんが、普段刀を持つときは、親指と人差し指を曲げるように気を付けて下さい。
この竜の口は刀だけでなく、槍などの武器を用いるときにも用いられます。
こうした手の形は正しい動きを身に着ける上で重要です。
しっかり身に着けて下さい。

 

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