剣坐禅

剣坐禅

一般に坐禅と呼ばれる、精神を統一し、集中力を高めるために行われる修行法です。
あまり長時間行わないように注意して下さい。
剣坐禅の流れ
今回紹介するのは、天心流兵法の剣坐禅(けんざぜん)です。
剣坐禅とは、いわゆる坐禅のことです。
士林団は早朝稽古場に集まり、天心流の稽古を行う前に、朝日を浴びながら、一般に言う坐禅を行い、精神を統一し、集中力を高めてから稽古に臨みました。
今回はその方法を紹介し、皆さんと練習したいと思います。
剣坐禅の種類
剣坐禅は大別して三種類の方法があります。
まず一つ目は、今私の姿がそうであるように、小刀と大刀の二本を腰に差した状態で座るという方法です。
二つ目は、大刀を外し、左ないしは右に置いた状態で行う方法です。
三つ目は、小刀も外して、無腰(腰に刀を差していないこと)で行う方法です。脇差も外し、自分の腿の下に、横一文字に通して置きます。そしてこのように坐禅を行います。何かあった際は瞬間的に刀を抜いて対処できるという状態で坐禅を行います。
大別してこの三種類の方法があります。
着座方法
今回は小刀と大刀の二本を帯刀した状態で行う方法を紹介します。
最初に、胡坐になる方法を解説します。
立った状態から胡坐になる際、袴の逢引留(あいびきどまり)と呼ばれるこの位置のやや下を手で摘まみます。
そして袴を引き上げて座りますが、引き上げると言っても手を大きく上げるわけではありません。手を少しだけ上げ、むしろその位置で手を固定するようにして、両膝を曲げることで袴を引き上げるようにします。
そして左足を右足の後ろにもっていき、つま先立ちで膝を落としていき、左膝を床に付けます。左膝を床に付けた後、左の足の甲を床に付けて、右足を少し前に滑らせて、お尻を左の踵の上に載せたのち、滑らせるようにしてお尻を床に付けて、着坐します。
右手は右腿の付け根の上、左手は左膝の上に載せます。
手の形は、親指を握る込むようにします。強く、深く親指を握るのではなく、浅く、親指の爪を隠すような心持で握ります。
後ろからご覧ください。
まず、両手で逢引留の下、つまり自然と手を下ろした位置で袴を摘まみます。この時、烏賊の口になるように摘まみます。
袴を引き上げると同時に両膝を曲げ、左足を右足の後ろにクロスするようにして置きます。さらに膝を曲げていき、左膝を床につけ、つま先立ちになります。足の甲を床につけ、お尻を左踵の上に載せた後、右足を前にややスライドさせながらお尻を床に付けます。
そして、左膝の下に右足を入れるようにし、手を定位置に置いて、座ります。
上足(かみあし)、下足(しもあし)について
胡坐の足の形について、今右足を前にしておりますが、左足を前にしても構いません。その場合は、先ほどと逆の足の運びを行って座ります。
原則的に、前に出ている足の裏を見せる方向が下座(しもざ)となります。今ですと、私から見て左側が下座、右側が上座(かみざ)となります。
自分より目上の人であったり、神仏など尊いものがある場合には、そちらに足の裏を向けないように足を選択して行います。
今回は右足を前として行います。
姿勢と呼吸と意識
胡坐の姿勢が出来ましたら、手の形を整え、姿勢も整え、実際の剣坐禅に入ります。
坐禅の方法というのは様々な宗派によって異なるものですが、天心流の場合は左掌の上に右掌を載せます。
そして親指と親指を近づけて、親指と親指の間に薄皮一枚、紙一枚入るか入らないか程度、ギリギリまで寄せます。
それを作った後に、刀の下、丹田(たんでん)にしっかりと引き付けます。
手とお腹の間に隙間が出来てはいけません。完全に引き寄せます。
そして姿勢を正した後、半眼、つまり眼を半分ほど開けて薄目にし、視線を落として、鼻筋を通して、親指と親指の隙間を見るごとく目線を落とします。
これは見ろ、という意味ではありません。見てしまうと頭が下がってしまいます。
姿勢はあくまでも正しいまま、目線だけ落とします。
そして鼻からゆっくりと息を吸います。
吸い終わったのち、口からゆっくりと息を吐き出します。
この時、息を吸うことよりも、より長く時間を掛けて息を吐くように注意して下さい。
ゆったりと身体中をリラックスさせて、ゆっくりとした呼吸を繰り返します。鼻からゆっくり吸って、口からゆっくり吐きます。
これを繰り返しながら、無心となります。
正確な時間の決まりはありませんが、一般的には線香1本分、数十分の時間をかけて行います。天心流の場合、坐禅が目的ではなく、あくまでも稽古前に精神統一をして集中力を培うということで行われているものです。そのため、数分程度、3~4分程度行えばよいかと思います。
以上、剣坐禅の方法についてでした。自分自身で正しく座れているかどうかはなかなかわかりにくいと思いますが、スマートフォンなどを使って、自分の姿を横から撮るなどして、姿勢が正しく整えられているか、頭が下がっていないかなどを確認してもらえればと思います。

 

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